学びは社会が支える時代へ。

2026.01.07

「借主と家族を苦しめる貸与奨学金の負担」
弁護士 岩重佳治さん

弁護士 岩重佳治さん

 「すべての人が学べる社会へ 高等教育費負担軽減プロジェクト」は12月18日、「高等教育費負担軽減Webセミナー」を開催しました。第3回となる今回は、弁護士の岩重 佳治さんを講師にお迎えし、「借主と家族を苦しめる貸与奨学金の負担」をテーマにお話しいただきました。
 冒頭、奨学金の返済に苦しむ人の相談事例が紹介され、その背景に存在する学費の高騰や、不安定雇用の拡大といった社会的要因について解説されました。奨学金は、将来の返済能力が不透明な段階で利用されるため、誰もが返済困難に陥る危険性を構造的に抱えており、返済が困難になった人々を救済する仕組みが必要だと述べました。
 現行の制度には、傷病や経済的困難を理由として利用可能な返還期限猶予制度・減額返還制度・返還免除といった救済措置が整備されています。しかし、一度でも延滞が発生した場合はこれらの利用ができず、さらには利用要件が厳しく十分に機能している状況ではないため、必要な支援が行き届いていないと指摘しました。
 また、奨学金の保証人制度により親族などにも重い負担が及ぶ事例や、保証人への影響をおそれ自己破産などの法的手続きを避けるケースを挙げ、保証人に対する救済制度の導入も必要不可欠だと訴えました。そして、貸与型奨学金の返済負担を軽減するため、実情に即した救済制度の拡充や、個人保証の廃止と機関保証への一本化、所得連動型返還制度等の導入が必要だと提起しました。
 最後に、奨学金返済問題の背後には「家族という鎖」とも言うべき構造的な問題があるとして、高等教育を「家族の自己責任や負担」に委ねるのではなく、「社会全体で支える仕組み」を基礎とした制度設計へ転換していくことが求められていると結び、講演を終えました。