すべての人が学べる社会へ 高等教育費負担軽減プロジェクトは、7月18日、文部科学省高等教育局学生支援課と意見交換を行いました。
文部科学省からは高等教育局学生支援課の春山浩康課長、安藝彩織係長、渡辺真澄係長が、プロジェクトからは大内裕和さん(武蔵大学教授)、渡辺由美子さん(認定NPO法人キッズドア理事長)、南部美智代さん(労働者福祉中央協議会事務局長)らが出席しました。
大内裕和さんからは、2013年の「奨学金問題対策全国会議」の結成から、2015年からの中央労福協と連携した「給付型奨学金制度の導入・拡充と教育費負担の軽減を求める署名」の取り組み、2017年度からの「給付型奨学金の導入」、2019年の「大学等修学支援法」の成立、そして、現在のプロジェクトの結成に至る経過について説明がありました。
そのうえで、大内さんは①「今年4月からの大学等修学支援法の改正に伴う制度変更(所得にかかわらず多子世帯の学生等について授業料等が無料になった)の周知が遅れており、再募集がされていると聞いているがその状況認識」、②「給付型奨学金の支給にかかわる学業要件の問題(成績評価の平均が学科などの集団の下位4分の1に入ると「警告」を受け、2回受けると奨学金の支給と授業料減免がストップすることになっている)」について質問をしました。
文部科学省からは①制度の周知が遅れていることを踏まえて、文部科学省としても募集期限を延長することなどについて現場に要請している、②現場で様々な問題が生じていることは承知しているが、返済の必要のない給付型奨学金を支給する際には、まったく学業要件が必要ないということにはならないと考えている、との回答がありました。大内さんは、学業要件が同じ科目でも評価の「甘い」授業に人が集まる構造をつくりだしていることなど、相対評価であるがゆえに起きている問題について実態を報告し、改善を求めました。
続いて渡辺さんから、認定NPO法人キッズドアの活動としておこなっている、所得の低い世帯の子どもたちの支援について報告がされ、「大学等修学支援制度ができたおかげで、進学をあきらめていたかもしれない子どもたちが進学できるようになった。」と、状況が改善されている実態について報告がありました。そのうえで、①「4月からの大学等修学支援法の改正に伴う制度変更についても、知らない人が多く、届け出をするように勧めているが、手続きがかなり難しいと聞いている。手続きの簡素化などを進めてほしい。」②「入学金は奨学金が支給される前におさめることになっているため所得の低い世帯のこどものなかには、その入学金が支払えなくて入学をあきらめているケースがある。改善してほしい。」と要請しました。
文部科学省からは①制度の周知を進めていく中で努力していきたい②問題があることは認識しており、労働金庫などがつなぎ融資をやってくれているということも承知している、との回答がありました。
最後に南部さんから、「プロジェクトとしても署名活動など、高等教育費の負担軽減に向けた取り組みを行っている。目的は同じだと思うので、今後も意見交換を行いながら取り組みを進めさせてほしい。」と要望し、意見交換を終了しました。