2026/02/06

個人署名の最終集約として、33,916筆を文部科学省に提出しました!

文部科学省高等教育局学生支援課・春山浩康課長(写真左)、武蔵大学・大内裕和さん(写真中央)、労働者福祉中央協議会・佐保昌一さん(写真右)

 『すべての人が学べる社会へ 高等教育費負担軽減プロジェクト』は2月3日、高等教育費の負担軽減を求める個人署名(団体賛同は2025年1月31日にて終了)の最終集約33,916筆を取りまとめて文部科学省へ提出するとともに、改めて、高等教育費及び奨学金返済の負担軽減にむけた公的負担の大幅な拡充について要請を行いました。本取り組みは、「私とあなたができること 高等教育費の負担軽減を求めよう」として2024年5月から続けてきました。

 冒頭、大内裕和さん(武蔵大学教授)、佐保昌一さん(労働者福祉中央協議会事務局長)が、文部科学省高等教育局学生支援課の春山浩康課長へ署名簿と要請書を手交しました。

 大内さんからは、本取り組みの要請事項である3点に触れた後に、この要請事項に対し、全国から33,916筆もの署名が集まったことを伝え、早急な制度の改善・拡充の必要性を訴えました。

文部科学省高等教育局学生支援課・春山浩康課長

 春山課長からは、これだけ多くの署名が集まったことに対し、「文科省としても、学生一人ひとりの能力と希望に応じて高等教育を受けられるように制度を改善していく必要性は認識している。政府も少子化対策として進めていく必要性は、首相の国会答弁などでも考えを示されている。すべての課題をすぐに改善できるとはいかないが、毎年、できる限りの負担軽減に向けた拡充を進めてきているつもりだ」と述べました。

 続いて、大内さんからは、2点質問するとして、「2025年度行政事業レビューシート」において、「大学等における修学支援に必要な経費」の2023年度の予算執行率が58.1%、2024年度が56.3%となっていることに触れ、その要因を質しました。
 春山課長からは、「修学支援に係る予算は、非課税世帯も含めた全体的な高等教育進学率の平均から、目標として設定した割合(80%)から算出している。進学率は年々上昇してはいるが、まだ目標には届いていないことが要因である。文科省としても、さらに支援の取り組みの周知を進めると同時に、進学費用以外にも制度を利用するにあたっての阻害要因があるのかどうか、引き続き検証を進めたい」と述べました。

プロジェクトメンバーの武蔵大学教授・大内裕和さん

 また、大内さんからは、近年の大学授業料の値上げに関し、「2020年度に創設された授業料減免の上限が、授業料の値上げが相次いでいる状況にもかかわらず、今も変わっていない」など、学生側の授業料負担が増加している事実を伝え、改善を訴えました。
 春山課長からは、「授業料の設定は、各大学の判断ではあるが、文科省としても制度の課題は認識している。文科省としては、制度導入時に発信した『便乗値上げ』への警鐘を続けるとともに、物価高の影響など、毎年の実態も踏まえ、毎年度の予算要求の際に検証を続けていく」と述べました。

労働者福祉中央協議会事務局長・佐保昌一さん

 続いて、佐保さんからは、現在の奨学金制度に関する課題認識として、「日本学生支援機構法を改正し、一般会計による貸与型奨学金の無利子化の検討」「奨学金利用時の保証制度に関して、人的保証から機関保証中心への移行の推進」について触れ、文科省の見解を質しました。
 春山課長からは、「昨年の法改正の際にも、附帯決議において奨学金制度の充実をめざすことが確認されている。したがって、貸与型から給付型奨学金への政策の拡充を図っていく大きな流れがあることは認識しているが、実施には財源の問題がある。言われる趣旨は理解しているので、我々としても課題として捉えておきたい」「保証制度については、人的保証、機関保証ともに選択制になっており、5割程度が機関保証を選ぶようになってきている。この点については、借りる側の選択する権利は確保されているのではないか」と述べました。

 意見交換では、佐保さんから「財源の問題があることは理解するが、貸与型の利子負担は、借りる側の本人や家庭にとって大きい負担となっていることから、改善を求めたい。また、保証制度についても、機関保証が5割を超えたとのことであることから、一定の周知は進んでいるのだろうと認識するものの、トラブルが発生している話も聞いているし、半数は人的保証を選んでいるという点を考えれば、その問題点を正しく理解したうえで選んでいるかの懸念はある。さらに丁寧な発信を求めたい」と述べ、改善を求めました。

 最後に大内さんからは、「超少子高齢化や日本の産業構造の問題を考えれば、高等教育にどれだけ有効な投資ができるかは、今後の社会の鍵になるものと考えている。今後も社会がより良い方向に向かうよう、本日のようにコミュニケーションを続けていきたい」と訴え、意見交換を終えました。

 今回の要請により、「個人署名」の取り組みも最終集約としましたが、高等教育費負担の軽減・奨学金制度の改善に向けた取り組みは道半ばです。プロジェクトでは、今後も引き続き、制度改善の実現に向けた各種取り組みを展開していきますので、署名にご協力いただいた皆さん一人ひとりに感謝申し上げるとともに、これからもご協力をよろしくお願いいたします。